糖尿病

  糖尿病を例えて言うと、
 まず、体の中に糖液を入れる「おけ(容器)」があると思ってください。

 この「おけ」が壊れていて、絶えず糖液が流れ出ている状態のことを
 インシュリン依存性T型糖尿病(多くの場合、若いときからの)の症状といえます。

 インシュリン非依存性U型(多くの場合、中高年からの)、およびその予備軍の人のそれは、
 「おけ」は壊れていないが、「たが(枠を締め付けるもの)」が加齢による衰えから弛み、
 板と板との間が僅かに開いて、
 糖液が基準値を越えて漏れ出たり、範囲内に収まっていたりしている状態です。

 誰もが年を取り、「たが」が弛んでくると、
 普段は糖が出ていない人でも飲食物の傾向や体調によっては、漏れ出るようになります。

 甚だしい数値が続く人は別ですが、それ以外の人に起きる事は、
 病気ではなく老化現象の範囲の事だと言えると思います。

  U型、およびその予備軍の人の状態は、糖が出るという結果はT型糖尿病と同じでも、
 起因と過程が全く異なり、本来的には、糖尿病と言わずに、
 老化に伴う状態である事を表す名称をつけるべきものだと考えています。

 しかし、老化現象ではあっても、血液に混じって基準値を上下する糖が、
 場合によってはそれを遥かに越える値になって、全身をくまなく廻り続ける事になると、
 やがては合併症を起こしてしまう事にもなります。

  かつて人類は、食材それぞれの性質が、体へどのように作用するかについての知識と知恵を、
 体験を通して受け継ぎ、身に付けてきました。
 今、多くの人は食材それぞれの性質を忘れ、体のバランスを崩すかに思える食べ方をしています。
 基準に沿う毎回の食事の内容で、その時々に「たが」を引き締める事は出来ます。
 それを続けて行く事と、中国漢方の処方で、衰えをある程度回復させ、
 元気さと若さをいくらか取り戻させる根本的な改善も可能で、
 それ等を重ねて行く事により、糖は保たれ、漏れ出る状態が改善されていきます。

 ◎五つの味のバランスも重要です

 ●甘味は補いますが、多いと弛めてしまいます。間食として、
   なるべく摂らない心がけが大事です。
 ●辛味は、弛めるだけでなく、強く多いと、「たが」の隙間を押しひろげてしまいます。
 ●塩味は、最も重要で、保たせる為にはなくてはなりません。
   多いと水分が増え、血圧が上がり、体に負担をかけます。
 ●酸味は引き締めますが、濃く多いと、保たなければならないものまで、
   絞り出してしまいます。
 ●苦味は、暑い時期に食材として(少量)使うと体を調えますが、
   継続して多く濃く摂ると、保つ力を失わせる事になります。


 全てにおいて、調味に淡く少量が原則で、どれかの味に片寄り過ぎないことが大切です。
 また、弾力があって粘りを持った食材は、
 共通して体の基盤的部分を補い養って、保たせる働きをします。